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学会発表、論文も続々!成長し続ける若手研究者の拠点 / 歯学部 松香芳三研究室

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▲研究室では定期的なミーティングで情報共有が行われています。神経機能解析、再生医療、金属アレルギー、顎口腔機能の
4つのグループごとの会だけでなく、毎週木曜の夕方5時~は医局会で情報交換を実施しているそうです。

歯学部 松香 芳三(まつかよしぞう)研究室


顎機能咬合再建学分野は若い研究者が多く、留学生も多数在籍しています。留学生の多くは提携校のOB、OGの薦めもあって徳大に来ているそう。都会と比べて生活コストの安い徳島は、「静かで研究に集中できる」と、人気があるといいます。

先述した4つのテーマを軸に複数の研究テーマが並行して進む中で、最近のトピックは大島正充准教授が参画している「次世代バイオインプラントの開発研究」と話す松香先生。
2025年2月から福島県の南東北医療クリニックで特定臨床研究が始まるというニュースは大きな反響を呼んでいます。インプラントはネジ型の人工歯根を歯槽骨に固定する治療法ですが、次世代バイオインプラントは、天然歯と同じように歯根膜という靭帯を介して歯槽骨に結合させるのだとか。そのため、生理的な歯の移動や物を噛む感覚も得られるのではないかと期待が寄せられています。

その他にも「面白い研究をやっているんですよ」と教えていただいたのは、「おやつをたくさん食べると、歯ぎしりをする」という研究。

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▲顎機能咬合再建学分野に所属する大学院口腔科学研究科博士課程3年 谷脇竜弥さん(写真右)と
大学院口腔科学研究科博士前期課程1年 Dara Sari Ariniさん(写真左)。

睡眠時の血糖値と歯ぎしりの関係についての研究を行っている谷脇さん。被験者9名を対象に糖質の多いおやつを禁止し、代わりに大豆製品などの糖質が少ない低グリセミックインデックス食品を間食として食べるなどの食生活習慣を変えたことで、睡眠時の血糖値がコントロールでき、歯ぎしりの抑制効果が見られたとのことです。

この研究は第23回日本睡眠歯科学会定期学術集会で「糖質制限による睡眠時ブラキシズムへの効果の検討、中間報告」として発表され、優秀な研究発表を行った若手研究者に贈られる菊池賞を受賞しました。

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▲谷脇さんが歯ぎしりに着目したのは、大倉一夫先生(徳島大学病院かみあわせ補綴科)が歯ぎしりの研究を行っていたことがきっかけ。
同じく歯ぎしりについて研究する鈴木善貴先生は「睡眠中の歯ぎしり治療のためのメカニズム解明プロジェクト」としてクラファンにも挑戦。
研究室には歯ぎしりに関する様々な情報が蓄積されています。

またカレーのスパイスとしても知られるターメリックに含まれるクルクミンの痛みを抑える効果に着目した研究も。インドネシアからの留学生ダラさんはクルクミンに炎症を抑える効果があるという論文を見つけ、ラットを使った実験を行っています。ダラさんは「将来、クルクミンを主成分とした痛み止めができるかも」と話します。

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▲ダラさんは今年1月、徳島大学脳科学クラスターミニリトリート優秀発表賞を受賞。

ダラさんのご主人のLutfi Putara Perdana(ルトゥフィ プトラ ペルダナ)さんも顎機能咬合再建学分野の留学生で、運動によって分泌されるサイトカインというタンパク質に注目しています。抗炎症性サイトカイン(IL-10)が炎症を引き起こすプロセスを抑制する効果があることから、エクササイズをすることで痛みが減るのではないかという研究を行っています。この研究でルトゥフィさんも徳島大学感染?免疫クラスターミニリトリート優秀発表賞を2024年に受賞しています。

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▲ルトゥフィさん

こうした研究の発表の場として日本補綴歯科学会があります。学会では優秀な演題を口頭で発表する「課題口演」に9題が選出されるのですが、今年、9題のうち2題がこの研究室から選出されました!

選ばれたのは血糖値と歯ぎしりの研究を行った谷脇さんと、エクササイズと痛みの関係を研究するルトゥフィ さん。

「1題選ばれるだけでもすごいことですが、2題も選ばれるなんてことは、この先もうないんじゃないかと思います」と驚きを隠せない松香先生。

この他にも大学院の4年生の3名の論文がリバイス中(2025年2月時点)で、近々発表できるのではないかと期待されています。

臨床研究をやりたいという若い研究者が国内外から集まり、活発に研究できる環境が、こうした成果に繋がっています。

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神経機能解析、再生医療、金属アレルギー、顎口腔機能の4つを軸に臨床歯学研究が進む顎機能咬合再建学分野。顎機能咬合再建学分野については「とくtalk No.183 2021春号」でも紹介されていますので、そちらもご覧下さい。

 

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